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まちの活性化・都市デザイン競技 宇都宮市清住町小幡町 応募案

国交省・栃木県・宇都宮市後援のまちづくりデザイン競技。
2010年社団法人栃木県建築士会宇都宮支部まちづくり委員会で作成応募した提案です。
対象地区の清住町と小幡町は僕たちの地元であると同時に
旧日光街道が通過する、宇都宮の歴史を抱いた地域で、宇都宮市民として思い入れの深い地域です。

この地域には40年以上前から計画道路が定められています。
今回のデザイン競技ではこの計画道路が実施された後の街のあり方が求められていました。
2005年JAZZ広場プロジェクトを発表した事もあり、建築士会宇都宮支部まちづくり委員会で参加することにしました。

現状分析

地域に残る歴史的な建物、場所、最近出来始めた魅力的な店舗等を拾い集めて地域を評価し直しました。
現地調査をしてみると、小幡地区は静かな住宅地、一人暮らしのおばあちゃんに近所の人が毎日声を掛けているような、昔からの住宅地でした。
調べれば調べるほど僕たちは、こんな地区のど真ん中を、巾22Mの4車線道路で分断してはいけないとの確信を持ちました。


宇都宮市中心市街地における対象地区の位置づけです。
県庁、市役所、八幡山公園、城趾公園が並ぶ南北軸に対し、清住小幡地区はJR宇都宮駅と共に、新たな東西の軸を形成する場所にあることが分かります。
この地域を詳しく見てゆくと、街道沿いの民家や寺など、旧日光街道が残したまちの歴史がたくさん見つかります。

他の地区で、既に工事が為された計画道路の影響も調査しました。
宇都宮城から西に、一の筋 二の筋 三の筋 四の筋 材木町まで歴史を伝える街割りが残っていました。近年は一条町から四条町と呼ばれていました。
平成22年に開通した宇都宮水戸線は、それらの筋を横断しています。
22mの車用道路は、これまでの筋だけでなく、町の歴史や町内とよばれた町のつながりも断ち切ってしまいました。
20mに拡幅された材木町は、道路の横断もままならなくなり、向こう3件両隣が形成した商店街を一掃してしまいました。


日光街道物語 清住・小幡への提案

街を分断する道ではなく、これまで培われてきた、清住町・小幡町の魅力を守り引き出し活用する方法を提案します。
この街に永く住まい暮すために、人と歴史をつなぐ道の提案です。


JPGデーターをダウンロードします。968KBLinkIcon対象地区全体構想JPG

旧日光街道に残る古い建物を修景して宇都宮の歴史を伝える道の創出を提案します。様々な修景手法を実際の建物を対象に提案しています。


現在古い建物の多くは空き店舗となっています。活用のサポートをするための町屋再生センターを提案しました。空き家になってしまった建物と使いたい人をマッチングします。再生センターも古い町屋を再活用します。
また、この地区の寺を結ぶ寺道を提案し、地域の歴史と魅力を掘り起こします。

旧日光街道の渋滞緩和はこの地域再生の要です。広い計画道路を通しての緩和策は、通過交通を増加させ、地域生活の破壊を招きます。
私たちは、巾の広い道を1本通すのでは無く、向こう3軒の声が聞こえる巾の道を2本提案します。
既にある道を利用し、現在の姿を大きく変えることなく、渋滞の緩和を実現できると考えます。


小幡地区には路地が沢山残っています。
路地空間を、子供の遊び場、近所付きあいの舞台、地域触れ合いを育てる大切な場所と考えました。
同時に接道不良による防災上の問題も、この路地を活かしながらの解決方法を提案しています。

清住資料館とJAZZ広場、2005年に提案したJAZZ広場の案を、多少手直しをして今回の提案に盛り込みました。

落選報告

競技の説明を受け地域を歩いてみると、予定されている計画道路に疑問を持ち始めました。
道路が地域を引き裂き分断すると思えたのです。
そこで僕たちは、競技の前提である計画道路を考え直す提案をしました。
その結果競技には落選しました。


しかし、
後日地域の方々に僕たちの提案を説明する機会を得、提案を理解していただけました。
人々の生活とまちの歴史を分断してしまう道路の計画を40年以上見直しをしない行政に一石を投じることが出来たと考えてます。